2015年12月26日土曜日

イタリアのボルドー

イタリアにはローマ時代から脈々と続く土着品種があり、また、イタリア
原産で他国にはない固有品種が満天星の如くあります。それらを大切
にし、イタリアらしさに満ちたワインを誕生させています。
その為、世界の多くの産地で栽培されているMerlot/メルロやCabernet
Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンなど、元々はフランスのボルドーが
原産地ですが、いわゆる国際品種が主要となる産地はとても少ないの
です。
ところが1970年代半ばから新たな流れが起こります。イタリア中部の州
トスカーナの西側、海沿いのBolgheri/ボルゲリと言う小さな街の近くで
誕生したSassicaia/サッシカイア(カベルネ・ソーヴィニョンとCabernet
Franc/カベルネ・フランから造られた赤ワイン)が世界的に評価され、
有名になった事で、この地にそれらのブドウを植え、ワイン造りをする
造り手が多数現れます。イタリアのボルドーとさえ言える状況になった
のです。


上の画像はサッシカイアを世に送り続けているTenuta San Guido/
テヌータ・サン・グイードです。造り手の敷地内にi(観光案内所)が
あるなんて初めて見ました。そのくらい訪れる人が多いのでしょう。


ボルゲリのエリアはかつて何もない、マラリアが蔓延していたと書物
に記されている様な所でした。確かに車で走っているとそんな古を
イメージ出来る原風景が広がっています。



サッシカイアから始まったボルゲリの新しい歴史はこの後、次々と
現れるスター生産者によって輝かしいページを増やして行きます。
1978年にはSalaia/ソライア(カベルネ・ソーヴィニョンを主体に、
イタリア原産のブドウSangiovese/サンジョヴェーゼも使い造った
赤ワイン)が。
1980年代にはOrnellaia/オルネッライア(カベルネ・ソーヴィニョン
を主体にメルロなども使った赤ワイン)が、と言う具合に。
挙げればきりがありません。この流れはイタリアのワイン法さえ
動かします。国際品種を主体に造るワインであるにも関わらず、
ボルゲリは1983年、D.O.C.ワインに格付けされました。
先日のイタリア訪問でこの地を深く見聞して来ましたので、その
レポートを次回も続けます。