中華人民共和国で造られているワインは実は筆舌に尽くし難い位
驚きの品質をしているとこのブログで既に何度か触れました。ただ
それらのワインは権威あるワインの評価本やコンクールでトップと
称されたワイナリーのワインではありませんでした。
先日、行った月例のワイン・テイスティング会で中国トップ5に入る
と言われる造り手のCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン
がブラインドで出て来ました。ブラインド・テイスティング対象の中
に中国のワインが入っていると分かっていたとしても、そのワイン
を実際にテイスティングし、中国のワインと推測しないばかりか、
正体をばらした後でも中国のワインである事を信じられない程の
凄さがありました。
その赤ワインが誕生する地は北京の西方にあるNingxia/寧夏。ここは
現在、世界中から中国で最も注目されているワイン産地です。自治区
内の西側にHelan Mountain/賀蘭山があり、その裾野に畑、ワイナリー
があります。
そして、その赤ワインがこちら。この地区の象徴、賀蘭山から名付けた
Helan Mountain/ヘラン・マウンテンと言うワインで、2012年に栽培収穫
のカベルネ・ソーヴィニョン100%で造られています。
ここ数週間で60近い中国の赤ワインをテイスティングしましたが、その
ほとんどに共通しているのは色合いが濃過ぎず、むしろ薄めで、香り
は穏やかで上品、味わいはキメが細かく広がり、深みがある事です。
このヘラン・マウンテンのカベルネ・ソーヴィニョンも重厚さとは一線を
画した甘味酸味苦味渋味の密なハーモニーがあり、しなやかな深み
が余韻に長く残りました。形容するなら「美」と言う語がピッタリです。
カベルネ・ソーヴィニョンの本場、フランスのボルドー地方の赤ワイン
を頭に思い浮かべた時、この赤ワインに匹敵するのは数万円もする
トップ・シャトー(ワイナリー)で造り出されるワインだという事実です。
日本でも高品質のカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインがいくつかあり
ます。しかし、中国のトップ・クラスのカベルネ・ソーヴィニョンは次元
が違います。
その理由は気候風土にあります。カベルネ・ソーヴィニョンが上手く
生育するには乾燥、温暖と言う条件が必要です。ブドウの生育期に
ほとんど雨が降らない事、山の斜面や高地で日射量が豊富な事、
それ故、昼間は温暖な事、そして砂利質で水はけのとても良い土壌
である事など。日本とは比較にならない程、カベルネ・ソーヴィニョン
の栽培に適しているのです。
ブドウの状態でワインは決まるのですから、カベルネ・ソーヴィニョン
に限って言えば、今後、日本は中国に勝る事はないでしょう。更に
カベルネ・ソーヴィニョンの適地を研究し、適地適品種が徹底される
なら、中国のカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインはボルドーの脅威
となるばかりか、世界のワイン市場でボルドー赤ワインを席巻して
しまう可能性すらあると思います。
恐るべし中国ワイン。当店では驚きの品質の中国ワインに熱視線を
送る事を既に表明していますが、この度、他のトップ・ワイナリーの
ワインを11月以降順次取り扱う事になりました。
そのワイナリーは中国トップ5の内の2つで、Shanxi/山西省にある
Grace Vineyard/怡园酒荘(11月~販売開始予定)、Ningxia/寧夏
にあるSilver Heights/銀色高地(来年早々発売開始予定)です。
この2つの造り手のワインも賀蘭山に劣らず驚愕の品質です。偏見
を持たず、真っ白な気持ちでワインに向き合える人にはきっと何か
を語りかけてくれるでしょう。
発売開始まで今しばらくお待ち下さい。中華人民共和国のワインは
私達が想像すら出来ないレヴェルにまで達しています。