確かにかつてのカリフォルニア州のNapa/ナパはNook(ヌック)/人里
離れた所、辺鄙な所だったでしょう。それが今では無数のワイナリー
が立ち並び、それを目当てにやって来るワイン業界の人々や観光客
相手のホテル、モーテルもあり、人里からも離れてはいないし、辺鄙
な所でもなくなりました。決して都会ではありませんが...。
フランスのボルドー地方の赤ワインに対抗し、Cabernet Sauvignon/
カベルネ・ソーヴィニョン、Cabernet Franc/カベルネ・フラン、Merlot/
メルロ等の品種を組み合わせ造り上げるMeritage/メリテージで本場
ボルドーと双璧になったナパ。ボルドーで名声を確立した造り手が
このナパに進出し、自国での自分のワインに劣らないワインを多数
誕生させています。
格付け1級のCh.Lafite Rothschild/シャトー・ラフィット・ロートシルト、
そして最も高価なボルドー赤ワインのひとつを生み出すCh.Petrus/
シャトー・ペトリュスの所有者Moueix/ムエックスなどです。
ボルドーの赤ワインとナパのボルドースタイルの赤ワインには似て
いる要素がありますが、大局的に見ると違いがあります。ボルドー
の赤ワインは酸味を基調とし、生の果実のフルーティーさを感じる
のに対し、ナパの赤ワインは熟した果実(コンポートを思わせる)と
モカコーヒーやココアを思わせる樽熟成からの成分とのハーモニー
を感じます。
ボルドーの赤ワインに感じる果実味がチェリーやプラムだとすると
ナパの赤ワインに感じる果実味はカシスやブラックベリーになり、
その点だけを見ても、ボルドーの赤ワインには酸味の存在を明確
にイメージさせます。
この赤ワインはNapanook/ナパヌック。シャトー・ペトリュスの所有者
ムエックスがナパに所有するDominus Estate/ドミナス・エステートで
造られるボルドースタイルの赤ワイン(メリテージ)です。
ムエックスがボルドーで所有するシャトーはメルロを主体に栽培醸造
するエリアにありますので、カベルネ・ソーヴィニョンはほとんど栽培
しませんし、ワインになる事はありません。
一方、ナパヌックはカベルネ・ソーヴィニョンを主体に造られ、ナパの
気候風土を考慮し、本国でのワインとは異なるスタイルに仕上がって
います。
2006年ヴィンテージで既に9年の時を経ていますが、香味がシッカリ
詰まった事をイメージさせる非常に濃い色合いの外観をしています。
香り、味わいをチェックしてみても、そのイメージ通り濃密な酒質で、
若さに満ち、今後、更なる発展向上の余地が大きく残っています。
カシスの華やかな香り、オイリーな口当たり、赤身肉の血合いや鉄分
を感じさせる風味があり、今が旬の秋刀魚のワタのほろ苦さと十分
備わった脂分を活かした料理と合わせ楽しめるワインです。
焼き秋刀魚に生醤油を垂らして食すのでも、秋刀魚の刺身を再仕込
醤油で食すのでも、下の画像の様に揚げ物にして食すのでも、この
ワインとマリアージュします。
魚なのに赤?秋刀魚はどの様な料理にしても多くの場合、赤ワイン
との相性に優れています。それはほろ苦さと脂分の存在があるから
です。
味覚の秋、食の秋。ほど良い熟成感ある赤ワインと脂ののった旬の
秋刀魚料理との素晴らしいマリアージュを堪能してみませんか?
*Napanook 2006 Napa Valley/ナパヌック2006ナパ・ヴァレー
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら・・・ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー> 10,000円(消費税別)
Nookと言うワインですが、その香味は洗練され、都会的なスタイル
です。今では最もスタイリッシュなと形容されるナパのワインですが
その中でも最先端を走っているのがドミナス・エステートなのです。
秋刀魚の揚げ物をこの赤ワインにより近づけるのでしたら、味醂
を多めに使った天つゆをつけてあげると良いでしょう。