隣国でありながら、中国の本当の姿を知らないのは勿論ですが、
ワインを造っているのは知っていても、そのワインがどの様なもの
でどの様な背景を持っているのかを全く知らないと言っても過言
ではありません。それ程、この日本のワイン業界では中国ワイン
は未知の存在なのです。
ですので、中国を代表するワインDragon Seal/ドラゴン・シールの
起源、その後、現在を知る事の出来る絶好の機会に心が躍り、
博物館内部を探索が待ち切れません。と言う訳で、順路に従い
進んでみましょう。
現在、ドラゴン・シール・ワインを造るBeijing Dragon Seal Wines Co..Ltd./
北京龍徽良酒有限公司の始まりは明(ミン)の時代の末期にヨーロッパ
から中国にワインが伝わった事にあります。
清(シン)の時代にフランス人牧師が教会の敷地内に畑を開墾、教会の
地下に醸造所、セラーを設置し、ワイン造りに着手しました。ワイン造り
を担当したのはフランス人のLigela/リジェラ。フランスワイン・スタイルの
白ワインと赤ワインを造っていたそうです。これらのワインは教会の外部
の人達の為のものではなく、販売はされていません。
1912年に中国初の瓶詰スパークリングワインがこの教会で誕生しました。
1933年にはShang Yi School/上乂学校の醸造所でChala/チャラと言う名
のワインが造られます。
1946年にBeiping Shang Yi Winery/北平上乂洋酒广に改編され、白ワイン
赤ワイン、スパークリングワイン、甘口ワイン、ブランデーを造ります。その
ブランド名はLoutou/楼トウ(すみません。touの漢字の変換が出来ません
でした。)でした。
その後、北平にある外国領事館、ホテル、貿易会社がそのワインを買い
始め、輸出も始まります。
北平が北京に変ると共に、ワイナリーもBeijing Shang Yi Winery/北京市
上乂洋酒广と名を変え、教会の手を離れ、現在の地へ移転します。6種
のフランスから輸入したワイン醸造用ブドウ品種を植え、ワイン造りを
始めます。
1959年、北京市人民政府によりこのワイナリーは公的にBeijing Winery/
北京市葡萄酒广とされます。
現組織になったのは1987年。フランスの巨大飲料企業、Pernod Ricard/
ペルノ・リカールとの合弁により、Beijing Dragon Seal Wine Co..Ltd./北京
龍徽良酒有限公司となり、中国のブドウから高品質の中国産ワインを
造る事を目指します。
この様な事が上の画像、一番最初の展示室で判ります。
こちらはワイナリー誕生当時に使っていた道具の展示室です。どこの
ワイン博物館を訪れても、初期の道具はほぼ同じです。
こちらは瓶内で炭酸ガスを捕捉する製法のスパークリングワインの
製造過程の展示室です。フランスのChampagne/シャンパーニュの
製法がこれです。
フランス人ワイン醸造家によってワイン造りが始まったのですから、
当然と言えば当然です。
下の画像は地下11mに作られている醸造所兼セラーへの降口です。
今でも外国人のワインコンサルタントが関わっているのでしょうか?
フランス人らしき人が出迎えてくれます。
一歩一歩降りるに従い、湿度の上昇を感じます。地下セラーに進んで
いる実感大です。
上の画像が発酵、熟成の為のスペースです。下の画像はかつて瓶熟成
の為のスペースでしたが、現在は見学者に雰囲気を味わってもらう為に
古びた感じにディスプレイしているスペースです。
次回は残りの部分(現在)へと進んでみます。