2015年6月7日日曜日

高山村はオブセワイナリーの至宝

至高の造り手、オブセワイナリーが新たな試みで私達を驚かせたのは2014年の夏
から2015年の春にかけて。オブセワイナリーのある小布施町の東隣りに西向きの
緩やかな斜面に広がる高山村に所有する畑を微気候や土壌、区画により細分化
し、別々に仕込んでワインにし、発売しました。ワイン業界で言うテロワールを表現
したワインを商品化し、発売したのです。
Merlot/メルロと言う品種で造った赤ワインならば、Un de l'Est/第1農場東、Un du
Nord/第1農場北、Quatre du Sud/第4農場南、Cinq/第5農場と言った感じで畑の
違いによる飲み比べが出来ました。
不思議な事ですが、あぜ道をひとつ隔てただけなのに、隣同士の畑から採れる
同じ品種のブドウから造られるワインの香味が微妙に、時には大きく異なる事が
あります。
先述の区画違いのメルロの赤ワインも比較しますと明確な違いを感じる事ができ、
ワイン会でブラインド・テイスティングしたなら、きっと興味深い体験が出来たろうな
と思います。なぜ過去形なのかと言いますと、それらのワインは既にワイナリーに
なく、当店でも完売してしまっていますので、実体験が不可能なのです。もし、再び
この様なチャンスが巡って来たなら、こちらで告知しますので、是非、自らの五感
で感じてみて頂きたいと思います。


Un de l'Est/第1農場東です。こちらにはMerlot/メルロが植樹されています。


Un du Nord/第1農場北です。こちらにはメルロの他にPetit Verdot/プティ・ヴェルド
と言うブドウも植樹されています。このプティ・ヴェルドはフランスのボルドー地方が
原産地のブドウで、晩熟で秋の冷気の影響を受ける為、ボルドーでは栽培が減少
していたのですが、気候の変動で見直され、栽培が僅かに増加しています。この
品種は完熟すると凝縮してタンニンが強く、格別にスパイシーで濃い色合いをした
赤ワインになります。ボルドーの様に複数の品種をブレンドし、ワインを造る時に
香味にアクセントを明確に添える事の出来る品種です。


Quatre du Sud/第4農場南です。こちらにはメルロが植樹されています。第1農場東
から西へ緩やかに下った所にある畑です。


Cinq/第5農場です。第1農場東の南西、第4農場南の南に位置しています。メルロ
の他にTannat/タナと言う品種も栽培されています。この品種はフランスとスペイン
にまたがるBasque/バスク地方が原産地で、プティ・ヴェルド同様、色が濃く力強い
赤ワインを造ります。

プティ・ヴェルドとタナ、それぞれ単一の赤ワインも発売され、当店で販売しましたが
非常に興味深い香味を備え、品種ガイドブックに記載された通りの個性をハッキリ
と感じました。この2つの品種は高山村の気候風土に良く適合し、素晴らしいワイン
を造り出してくれるとワインメーカーの曽我彰彦さんが大きな期待を寄せています。

今回の訪問は開花前の時期でしたが、次回は結実し、実の色付きが終わる頃に
行って、同じ畑の画像を撮って来たいと思っています。葉の緑が美しい季節も良い
ですが、ワインへ変身する前のブドウがなっている風景の方がより良いと思います
ので。