今、この時代にワインを楽しめるのはベネディクト会などの修道士の努力の
たまもの、おかげなのですが、ワインを楽しむ事にばかり気を取られ、その
大切な事を忘れがちです。そこで大切な事を心に刻むべく、ハンガリー最古
の修道院に併設されたワイン博物館を訪ね、この修道院が果たした功績を
学び、認識を改めます。
修道院の立つ丘の麓、パンノンハルマの街の中心にその博物館があります。
上の画像の右の白っぽい壁の建物がそれです。門から中庭を通り、正面奥
に進むと博物館の入口があります。
受付で入場料を払い、音声ガイド器を受取ってから館内を自分で自由に見聞
します。木製の入口が開くと直ぐに地下へ下ります。ここから先は古のパネル
や醸造用具などが展示されています。
社会主義政権時代のブドウ栽培、ワイン醸造の中断前には修道院が建つ丘
の斜面一面にブドウ畑がありました。今は、丘の周りのブドウ栽培に最適な
土壌があるエリアに品種の相性に合わせ栽培しています。
今でもそうですが、修道士も畑の労働者と共にブドウ造りに従事していました。
教会とワインには密接な関係がある訳です。
かつて実際に使っていた醸造用具の展示です。ブドウの圧搾機、発酵用の
開放桶、貯蔵用の木樽などがあります。
こちらは樽作り場です。ワイナリーに木樽職人がいる事がほとんどなくなりました
ので、今ではワイナリー内にこの様な場所はありません。今まで訪問した造り手
で木樽職人が働いていたのはポルトガルのポートワインのいくつかの造り手のみ
でした。
次回は2004年に再開した最先端の技術がちりばめられた近代的なワイナリー
訪問記をアップします。この博物館を見学した後ですから、タイム・スリップした
かの様な錯覚に陥ります。