2015年4月28日火曜日

ワイン造りが活発な世界で唯一の首都ウィーン

首都にブドウ畑があり、ワイン造りをしている国は世界中でいくつかあります。
しかし、それがその地の産業の主をなしているとは言えない規模です。世界で
唯一のワイン産業都市と言われるオーストリアのウィーンには700ヘクタール
ものブドウ畑があり、中心地からそう遠くはない所に多数のワイナリーがあり
ます。参考ですが、日本のワイン用ブドウ畑は約900ヘクタール程ですから、
東京23区内にそれ程のブドウ畑があったらと想像するとかなりの驚きです。



上の画像がウィーン市23区で、ピンク色ぽいエリアがブドウ畑、赤色で囲んだ
エリアがウィーン市内の主産地です。ドナウ河を挟んでほぼ東西に位置します
が、土壌の構成がかなり異なり、同じ品種を育てワインにすると、河東のワイン
は果実味の凝縮した華やかな酒質になり、河西のワインはミネラルのシャープ
な広がりある引き締まった力強い酒質になります。造り手により様々ですが、
それぞれのエリアのワインをヴァリエーションとして別々に商品にしたり、絶妙
なブレンドで両エリアの個性をバランスよく楽しめる様にしたりしています。


ウィーン市内の造り手で、勿論、オーストリアのトップ生産者でもあるのですが、
最高峰と評価されているのがWeingut Wieninger/ヴァイングート・ヴィーニンガー
です。Stammersdorf/シュタンマースドルフと言う街にあり、ウィーンの中心から
路面電車に乗り、1時間もかからずに行けます。
上の画像が31ライン終点のシュタンマースドルフの駅です。ここから北へ少し
進み、十字路を左に曲がり、10分程歩くとヴァイングート・ヴィーニンガーです。
この付近ではブドウ畑は目に入ってきませんし、ワイナリーらしき建物もない
ので、静かな普通の街の様です。


しかし、左に曲がって少し歩いた先に上の様な案内板が設置されています。
ワインの醸造所やワインを提供するレストラン(現地ではHeurige/ホイリゲや
Buschenschank/ブッシェンシャンクと呼ばれています。)がこの通りを中心に
30軒もあり、ワインの街なんだなと実感させられます。


ホイリゲやブッシェンシャンクは通年営業ではなく、秋に収穫したブドウが
ワインへと変身した頃から営業が始まり、次のブドウの収穫が始まる頃に
営業が終了します。
ホイリゲやブッシェンシャンクを営んでいる人の多くが、ブドウ栽培者で
あったり、ワイナリー経営者だったりする所から、比較的時間に余裕の
ある時期に営業する様になったのです。
営業していますよのサインは入口にブドウの枝の束やブドウの蔓の輪、
更には樹木の小枝などを吊るし、お客様に知らせます。日本酒の新酒が
出来上がった時の杉玉に似た風習です。



こちらがヴァイングート・ヴィーニンガーです。ワイナリーには感じられない外観
です。ヨーロッパの多くの造り手の建物はこんな感じで、入口に小さな屋号入り
の看板が設置されているだけの事が多く、車で走っていると気付かない事が
しばしばです。
ところが中に入ってみると、その壮大さに驚かされます。その驚きは次回から。