2015年1月23日金曜日

メキシコワイン、久し振りです。

スペインからの宣教師がアメリカ大陸に渡り、まず初めにワイン用のブドウ
を伝えた国がメキシコです。それは1530年代の事でした。それ以後、大陸
を北と南へと伝わり、北はアメリカ、カナダ、南はペルー、ブラジル、チリ、
アルゼンチン、ウルグアイが今、多数のワイン産地を抱え、ワインを世界の
市場へ送り出しています。ボリヴィアやヴェネズエラでもワイン造りが近年
始まっています。
メキシコでのワイン用ブドウの栽培は苦難の連続でした。現代では環境に
適したブドウを選び、それに最適な栽培方法を駆使し、時には土壌を改良
したりもして良質なブドウを育み、ワインを造る事に不可能がなくなりつつ
あります。しかし当時は温度が高すぎてブドウが疲弊し、枯れてしまったり、
湿度が高すぎて病気にかかり、腐ってしまったりと自然環境に打ち勝てず、
自然を相手に無力な人間の現実を思い知らされたに違いありません。
やがて人々はBaja California/バハ・カリフォルニアと言うブドウにとっての
安住の地を見つけ出し、持ち込んだヨーロッパ原産のブドウの栽培を軌道
に乗せました。


バハ・カリフォルニアはアメリカ大陸西海岸にあり、銘醸ワインを多数生み出す
カリフォルニア州と南北で隣接した地域です。アメリカ大陸の西の海には北方
から沿岸に沿って南下する寒流があり、その冷気で陸地の熱を和らげ、かつ
日夜の温度差を創り、ブドウが心地良く生育できる環境をもたらしています。
上の画像で山と山に挟まれた谷(画像中で白い部分)に内陸へ向けて、冷気
が流れ込みます。その冷気の流れる道がメキシコのワイン用ブドウの栽培地
です。
Ensenada/エンセナダと言う街があります。そのすぐ上を海側から内陸に向け
斜め上に広がる白い部分、ここがメキシコのワイン産地の中心地、Valle de
Guadalupe/ヴァジェ・デ・グアダルーペです。ここに40程のワイナリーがあり、
メキシコワインの90%を造り出しています。
その中心的ワイナリーがVinicola L.A.Cetto/ヴィニコラ・ラ・セットで、1926年に
イタリアからの移民により設立されたワイナリーです。この造り手のワインは
日本にやって来ている唯一のメキシコワインで、10年程前に当店でも販売して
いましたが、輸入元の取引形式変更に伴い、流通が上手く行かなくなり、取り
扱いを中止していました。
前回、ブログで案内をしたタイ産ワインの取引開始に伴い、同じ輸入元が取り
扱いをしていましたので、合わせて当店で販売を再開する事にした次第です。
スペインに発したワイン造りの流れはシッカリとメキシコにも受け継がれている
事がハッキリと判ります。
今、流行りの色の濃い、リッチな赤ワインとは一線を画す深みと落ち着きある
酒質はスペイン、メキシコに共通する良さです。使っている品種はCabernet/
カベルネ(カベルネ表記だけの時はCabernet Franc/カベルネ・フランと言う
品種の場合とCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンの場合、その両方
の場合もありますが、この赤ワインはカベルネ・ソーヴィニョンの方です。)と
Malbec/マルベックで、どちらもフランス原産のブドウです。
しかし、フランス原産のブドウから造られたワインであっても、スペイン人から
伝承したワイン造りの業と技と魂、それらがメキシコの地に浸透し、根付き、
イタリア人のセンスがそこに融合し、造り出されたワインはメキシコ赤ワインの
アイデンティティーをシッカリと備えています。
穏やかな果実味、落ち着き、シットリと広がる香味、深みのある余韻。これが
メキシコ赤ワインの主流、アイデンティティーです。日本の家庭の食卓に登る
典型的な料理、肉じゃが、きんぴらごぼう、焼き鮭、ブリの照り焼きなどと一緒
に楽しめます。



サンタ・セシリア2012ヴァジェ・デ・グアダルーペ、カベルネ・マルベック
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら・・・パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
1,500円(消費税別)