2013年12月14日土曜日

赤ワイン熟成の極み

赤ワインが熟成するには、外的な要因もありますが、何よりもワイン自体
に経時変化に耐えられる体力がある事が絶対条件になります。それは、
酸化に抵抗できるポリフェノールが多く含有されている事です。
ポリフェノールが酸素と戦いながら、酸化によるワインの劣化を防ぎつつ、
角の立つタンニン(渋味成分)をカンナで丸く削る様に滑らかにし、ワイン
用語で表現する所のシルキーな口当たりを備えた酒質へと発展します。
この段階に達するといわゆる飲み頃と言う状態になる訳です。
その飲み頃に達するのは含有されているポリフェノールの多少に影響を
受けますので、ワインにより様々です。コルクを抜いてその状態を五感で
チェックしなければ、地球上の誰一人として、正確には判らないのですが、
私達ワイン業界の人間は経験により、その飲み頃を想定し、お客様に
合わせて相応しい1本をお勧めしています。
赤ワイン用ブドウは無数にあります。その中でも長期熟成向きのワイン
を造り上げる品種はNebbiolo/ネッビオーロ、Cabernet Sauvignon/
カベルネ・ソーヴィニョン、Brunello(Sangioveseの一種)/ブルネッロ
(サンジョヴェーゼ)などが代表的です。


それら代表的な品種の内の一つ、ネッビオーロは主産地がイタリア北部
で、最も有名な原産地呼称はBarolo/バローロ。その威厳ある酒質から、
「王のワイン、ワインの王」と称えられて来ました。
近年は栽培醸造技術の向上の為、必ずしも当てはまる訳ではないのです
が、ネッビオーロから出来る赤ワインは色合いは濃くはないにも関わらず、
渋味(タンニン)をズシリと感じ、後口に乾いた感覚と鉄分を感じます。この
特徴が身に染み込めば、ネッビオーロのワインを口にした時、もしかする
と、これのワインの品種はネッビオーロじゃないかと感じられる様になると
思います。


ネッビオーロのワインはその様に厳格な酒質ですので、口当たりに優しさや
しなやかさが現れるまでは、強過ぎる主張があり、なかなか馴染めない事が
あります。
では、ネッビオーロのワイン(特にバローロ)が飲み頃のサインを発すると
どの様な外観になるのでしょうか?それが上の画像。色合いは薄めです。
そして、エッジ(液体の中心ではなく、外側)にオレンジの色調が見えます。
この状態まで熟成により発展成長しますと、香味に複雑さが備わり、強い
ながらもしなやかさがあり、深みある主張を広げてくれます。


その香りは雄大な大地を感じられる様で、マッシュルームやシイタケ、リッチ
に行くのでしたら、トリュフを使う料理にマリアージュします。また、燻した様
な香り、焦臭的な香りも熟成香として感じられますので、動物赤身加工肉
をソテーした風味にもマリアージュします。
例えば、マッシュルームのオイル焼き、カリカリに焼いたベーコンが手軽に
合わせ楽しめます。また、鴨のコンフィ、ポルチーニを使ったラグーパスタ
など手間をかけた料理と一緒に楽しむのもOKです。


2013年頑張った自分達へのご褒美にそんな料理とこのバローロで華やかな
食卓を演出してみませんか?
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Fontanafredda 1982 Barolo Vigna la Delizia
フォンタナフレッダ1982バローロ、ヴィーニャ・ラ・デリツィア
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら・・・ブリー。
飲み頃温度:19度。
<フルボディー> 21,000円


ネッビオーロの名前の由来になった10月の霧(Nebbia/ネッビア)。バローロ
の産地でしばしば目に出来る光景です。