2012年10月2日火曜日
見た目と実際
画像の様に果皮の色が紫や黒みがかった色のブドウを黒ブドウ
と言い、この果皮の色素をどの様に使うかでワインを造り分け
ます。
実を圧搾し、その果汁だけを発酵させるのなら白ワインが出来、
果皮を果汁に漬けこんで軽く色付いた所で果皮を取り出し、その
果汁を発酵させればロゼワインが出来る。
そして更に漬け込んで、色素を果汁に十分に移し、発酵させれば
赤ワインが出来る。だから、ロゼワインや赤ワインの色はブドウの
実の果皮の色素が移行したものなのです。
この色は簡単に説明すれば渋味成分。色が濃ければ、それだけ
渋味成分が多く含まれ、うすければ渋味成分が少ないのです。
赤ワインを大きく3つに分けるとライトボディー、ミディアムボディー
フルボディーになります。これは、またまた簡単に説明すると、色
が濃いかうすいか、つまり渋味が多いか少ないかで分けているの
です。色がうすい=渋味が少ない→ライトボディー、色が濃い=
渋味が多い→フルボディー、それらの中間がミディアムボディー
と言う具合。
もう少し補足すると、色の濃いワインは味わいも濃く、また濃厚な
フルーツ感が備わっている事があり、それ故、甘いニュアンスを
感じてしまう。渋いワインが良いのだけれど、甘いニュアンスの
豊かなフルーティーさは嫌と言う人には向きません。
渋味成分は色素からもたらされるものである以上、色が薄くて
渋味の強いワインはあり得ない事になります。渋いワインなら、
リッチな果実味があって当然と言う事なのです。
甘いニュアンスは嫌だから、フルボディーのワインは楽しめない
の?あきらめる事はありません。色が濃くなくても、渋いワイン
はあります。
その代表的なワインはNebbiolo/ネッビオーロと言うブドウから
造られ、有名なワインですとBarolo/バローロやBarbaresco/
バルバレスコと言うイタリアワインになります。中には果実味
豊かなタイプもありますので、買う際に確認を。
他にはフランスのコルス島の超ローカル品種、Sciacarello/
スキアカレロから造られた、日本ではほとんど流通していない
超レアものもあります。そんなワインですので、私自身の試飲
経験はこの長いワイン業界生活の中で僅かに2回。その2回
の経験からこのワインを語ると、こうなります。
色合いはうすめ。色調は紫色を全く感じない赤でわずかです
がオレンジ系の色をワインの輪郭に感じます。ここまでですと
この赤ワインは渋くないのではと想像出来ます。
香りはスミレの生花。そのリキュールを思わせる華やかさ。
アセロラやサクランボなど赤い小粒の果実の香りも感じます。
しかし、ジャムを思わせる様な甘いニュアンスはありません。
この段階ですと、ある程度の渋さがあるのではと想像出来
ます。
それでは味わいはどうなのでしょうか?色合いが濃くない
ので渋味は強くはありません。が、次第に鉄分を感じる
重厚さ、液体なのに乾いた感覚ある収斂性が現れ、非常
に力強い口当たりをドッシリと長く残します。この味わい
の感じはネッビオーロにも通じ、鉄分を感じる赤身肉、
動物なら鴨や鹿、魚ならカツオやマグロを使った料理に
合わせ楽しみたくなります。
力強く、深みのある酒質。甘いニュアンスのないドライで
芳醇な味わい。鉄分ぽさ伴う重厚な後味。見た目から
想像する風味とは全く異なる不思議さ。こんなワインが
あっても良いですよね。
渋味のシッカリある赤ワインがほしい。でも甘い風味は
嫌。そんな方にお勧めな赤ワインを造る品種はこれだ!!
Nebbiolo/ネッビオーロ、
そしてSciacarello/スキアカレロ
この2品種を頭にインプットすれば、もうこれでOKです。