2012年1月22日日曜日
これもワインです。
ワインにはその製法、タイプにより様々な種類がある。私達が普通、ワイン
を楽しむと言った時にはアルコール度数がおよそ15%以内の発泡していない
ワインor発泡しているワインである事がほとんど。
しかし、他にも楽しむべきワインがある。そんな中のひとつに酒精強化ワイン
がある。このワインは普通のワインと同じ醸造過程を進みながら、ある瞬間
に特殊な工程を経る為、ユニークな香味を備える。簡単に言えば、ワインに
蒸留したグレープ・スピリッツを加え、発酵を停止、保存性を高めたもの。
多くの方が知っているであろう、その酒精強化ワインは、スペインのSherry
(Jerez)/シェリー(へレス)、ポルトガルのPorto(Port)/ポルト(ポート)、同じく
Madeira/マデイラなど。それらに比べ生産量の少なさから流通せず、レア
ものなのがポルトガルのLajido/ラジド。上の画像のワインがそれ。
ポルトガルの首都Lisboa/リスボンから真西に約1,500km、Azores Islands/
アゾレス諸島のPico Island/ピコ島が産地。上の画像の中心に固まる島々
の中にある。
そこは四方を海に囲まれた溶岩むき出しの荒野の様相。風が強く、つねに
吹き荒れているのでブドウの樹は溶岩を低く仕立てた塀の中に守られ育つ。
こんな過酷な自然を生き抜き、ブドウは育ち、立派な実を付け、その恵みが
ワインへと移行するのです。
ラジドは白ブドウから造られ、発酵途中でグレープ・スピリッツを添加し、
発酵を止める。発酵の初期に止めれば、発酵せずにワイン中に残留
している糖分は多く、甘い。発酵の後期に止めれば、ほとんどの糖分
がアルコールに変換しているので、残留糖分は少なく、ワインは辛い。
これを木の樽に入れ、少なくても3年熟成させる。木樽の中で酸化熟成
するので色合いは、紅茶を思わせるオレンジ色のトーンや薄めの茶色。
香りは白ワインの熟成香の典型、マッシュルームを思わせる香りに
僅かに紹興酒に通じる香りもある。
画像のラジドはどちらかと言えば、後者。甘味をあまり感じなく、複雑
な香味とアルコール分のアタックから、味わいは辛め。そんなレアな
ワインを今晩、ワイン会の最後で楽しみます。参加者の皆様の反応が
今から、とても楽しみです。