ワインには様々な香りがある。果実、花、木の実、動物肉、キノコ、
香辛料、パン、コーヒー、チョコレートなどなど。ブドウが原料なのに
何故、そんな香りが?
ワインの香りは原料ブドウ由来のその品種の個性の他に、発酵に
よって生まれる香り、熟成によって生まれる香り、木樽熟成によって
もたらされる香りがある。それらから、単独で、または複合的に香り
が形成される事で、果実でない香りがワインに備わる。
時々、出会う、非常に個性的な香り。ワニス、ペトロール香、柑橘類
の外皮のワックスぽさ。こんな香りを持つ白ワインがある。この香り
は多くの場合、ある特定の品種の皮が持つ香りが醸造過程で果汁
に移り、それが発酵、熟成を経てワイン中に残ったと思われる。
こんなワインにどんな食べ物を合わせ楽しんだら良いのか?同系
の香りを持つ食べ物が良い。例えば、数の子やイクラ。注意して
食べてみてほしい。ビニールぽさを感じるはず。この香りが口中に
生臭さをもたらすので、ワインに合わないと思われている。が.......
ヨーロッパの香水を日本人が付けると香りが強過ぎ、周囲の人が
心地良くないが、ヨーロッパの人が付けると体臭とマッチし、実に
エレガントな香りを放つ。その原理なのだ。ビニールぽさあるもの
にはその香りを持つワインを合わせ、ビニールぽさを浮き立たたせ
ない様にする。
以前、紹介したが醤油漬けの強くないイクラ丼に、ペトロールぽさ
あるスパークリング・ワインが実に良くマリアージュした。もっと合う
食べ物はないかと思案し、身近な料理でマリアージュするものを
見つけた。鰹節で丁寧に出汁をとり、煮付けた大根。ほうれん草
とコーンのバター炒め。この2つの料理にも口中でビニールぽさを
感じるはず。同じ香り同士は反発しない。
ワインと料理の相性は色と色を合わせるのが基本。次に脂肪分や
辛さに注目。最終的な応用編は香りに着目。この流れを守れば、
どんなワインも料理と一緒に必ず楽しめる。
正月はそう遠くない将来、やって来る。恐らく、数の子を食べる人
も多いだろう。シッカリ塩抜きし、淡く塩味を感じる数の子に削り節
をひとかけし、それを食べながらペトロール香あるワインを楽しんで
ほしい。2つのものがマリアージュし、新しい世界を創造する。夫婦
の世界の様なもの。ワインにはそんな素晴らしい世界を創造する
神秘の力がある。
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Sula Brut Methode Champenoise
スラ、ブリュット・メソッド・シャンプノワーズ<インド>
飲み頃温度:10~12度。
<コクのある辛口>
1,680円
醤油漬けの強くないイクラ丼
淡い塩味の数の子、削り節添え
鰹のだし汁で煮た大根
ほうれん草とコーンのバターソテー
など、醤油の味をほとんど感じない料理と一緒にお楽しみ下さい。