2011年1月19日水曜日

デキャンタージュ

ワインを写真の様なガラス容器(デキャンタ)に移す事がある。
理由は色々。手前の底部の直径が広いデキャンタに移す場合、
ワインの熟成が進んでいなく、酒質が硬い為、空気にたくさん
接触させ、強制的に酸化状態にし、香味を引き立たせるのが
主な目的。
熟成したワインでオリやタンパク沈殿が見られる場合、それら
をボトルに残したまま注ぎ続けるとワイン全体に濁りがまわり、
清澄した飲用部分が少なくなってしまう。その為に予め清澄
しているワインをデキャンタに注ぎ移し、オリなどと分け、より
多くのワインを味わえる様にする事が主目的。こちらの目的
の場合、ワインの熟成が進んでいる為、過度の空気接触は
香味のバランスを崩す恐れがある。だから直径が狭く、表面
の空気接触部分が少ない奥の2つのデキャンタを使用し、
静かにワインを垂らし移す事が多い。
グラスに色々な形状のものがある様に、デキャンタにも色々
な形状のものがその使用目的に合わせ用意されている。
デキャンタージュをすると言うと、赤ワインのみと思う方が多い
と思う。実際、レストランなどでデキャンタージュされるワイン
はそのほとんどが赤。でも、白ワインやロゼワイン、そして、
シャンパーニュだってデキャンタージュした方が良い場合が
ある。
特に酸味やミネラルが豊富な白ワインやシャンパーニュは
無酸素状態での熟成により、香味が還元的になり、カキの
殻が日に当たった様なヨード香がある事がある。その香り
は不快ではないが、快適とも言えない。そんな時、ワインを
デキャンタージュし、空気接触により、ヨード香を弱め、全体
に果実味を取り戻し、バランス良い酒質にしてあげると良い。
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シャンパーニュをデキャンタージュした方が良い事を昨日、
改めて実感した。初来日したMignon/ミニョンさんご夫妻の
セミナーに参加した時の事。2種類のシャンパーニュが
ブラインド状態で出て来た。外観、香り共に明らかに異なって
いた。
No1はベージュのトーンが強めの色合い。香りは焼きリンゴ、
カラメルの菓子、はちみつのヒントもある。そして、少しの
ヨード香。複雑で動物のヒントある口中香。骨太なミネラリー
さある酒質。
No2はレモンイエロー。わずかにゴールドの色調。ラ・フランス、
ルビーグレープフルーツの果実味がチャーミングに広がる。
味わいはジューシーでライトタッチ。クリスピーさもあり、アフター
に向けてフレッシュさも広がる。
コメントを見ただけでも2種類の異なるシャンパーニュです。が、
何とボトルこそ違え、同じシャンパーニュ、Christophe Mignon
2005Brut Nature/クリストフ・ミニョン2005ブリュット・ナチュレ
だったのです。違いはどこから?それはNo1がコルクを抜いて
そのままグラスに注いだもの。No2はテイスティング1,5時間前
にデキャンタージュし、デキャンタからグラスに注いだもの。
そうです。空気接触による効果が良い方向に動いたのがNo2
だったのです。料理なしで楽しむのなら、明らかにNo2の方
が心地良く、もし、クリームやオリーヴオイルを使用した料理
と一緒ならNo1の方が活躍出来るでしょう。
好みの問題もありますが、もし、ワインを1本全て飲みほして
しまう状況なら、半分をデキャンタージュし、残り半分をボトル
に残し、同時に飲み比べてみるのも一興です。