2015年12月24日木曜日

フレンチ・テイストなカベルネ

Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンの故郷と言えばフランス
のBordeaux/ボルドー。ボルドーを東に進むとそこにはルーマニアが
あります。
同じ北緯に位置していても、海洋性気候のボルドーと内陸地の大陸性
気候のルーマニアとでは、地勢の影響も加え、かなり異なる自然環境
になります。
ルーマニアのワイン産地の全般に言える事ですが、日射量が豊富で
日中の高い気温に対して、日没後の低い気温、そして陽光で大地が
温められ気温が上昇するまでの午前中との気温差は大きく、それに
よりブドウは果実味を豊かに備え、高い糖度がありながらも十分な酸
を残した実になります。
その様なブドウから出来上がるワインは、豊かな果実味があり、高い
アルコールに支えられたまろやかでリッチな香味を備えます。自然の
恵みをタップリと浴び育まれたブドウ、そのブドウから誕生するワイン
を農作物だと認識するのです。
カベルネ・ソーヴィニョン種から赤ワインが造られた場合、ボルドーの
赤ワインには緑色の植物、赤い小粒の果実を思わせるニュアンスが
あるのに対し、ルーマニアの赤ワインにはシッカリと熟し黒みの強い
ベリー果実やカシスを思わせるニュアンスがあり、より華やか。この
様な傾向になります。
後者の様な酒質にカリフォルニア、オーストラリア、チリなどの国々の
赤ワインもなる傾向があり、華やかさ故、甘いニュアンスが感じられ、
ボルドーの赤ワインを好む人には、受けが悪い事があります。但し、
それは品質の優劣ではなく、あくまでも飲み手の好みです。
しかし、例外はあります。様々な要因が重なり、ルーマニアで育った
カベルネ・ソーヴィニョンから造られた赤ワインであっても、ボルドー
のそれを思わせるフレンチ・テイストな酒質をしたワインになる事も
あるのです。



今秋、日本へ初めてやって来たNomad/ノマドのカベルネ・ソーヴィニョン
はブラインド・テイスティングしたなら、多くの方がボルドーの赤ワインと
思ってしまう香味を備え、酸味に支えられた若々しさがあります。
この赤ワインはスクリューキャップなのですが、開栓したばかりの時は
スクリューキャップのワインにありがちな硬く閉ざし、仮眠しているかの
様に香味を広げない状態です。
それが2日目、3日目と時を過ごすに従い、内在されていた本来の良さ
が少しずつ現れて来ます。毎日、1杯ずつテイスティングしました所、
4日目に香味の主張のピークを迎えました。1日で全部飲み切らない方、
毎日、少しずつ味わいたい方には、良い意味での酸化がこの赤ワイン
の素晴らしさを実感させてくれます。
この赤ワインを飲むのなら、是非、開栓して4日間、飲まずにじっと辛抱
して頂き、香味の主張が最高潮に達した状態をお楽しみ頂く事をお勧め
致します。
*Nomad 2013 Dealurile Munteniei Cabernet Sauvignon
 ノマド2013デアルリレ・ムンテニエイ、カベルネ・ソーヴィニョン
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら・・・ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<ミディアム~フルボディー>
1,100円(消費税別)
春菊とネギの緑色の部分も入れたすき焼き、ローリエの風味を添えた
ビーフシチューと一緒に味わって頂けます。


また、チンゲン菜と豚肉のオイスターソース炒めともマリアージュ
します。